損金算入が否認される可能性がある費用
法人は通常、会社を経営し利益を上げるために何らかの費用を日常的に支出しています。
この費用には様々な種類と用途があるのですが、経営者にとって最も大切なのは、支出する費用が損金算入できるかどうかという点です。
損金算入できればその費用は経費として扱われて非課税になりますが、損金算入が否認されてしまえばその費用は課税の対象となってしまうのです。
では、一体どのような費用が損金算入され、逆にどのような費用であれば損金算入できないのでしょうか。
そもそも損金算入とは
初めに、損金算入とはそもそもどういうものなのかを説明しておきたいと思います。
まず「損金」とは、会計法上の「費用」と同様のもので、これを法人税法上で言い換えたもののことです。この両者は多少異なるところもありますが、実質的にはほぼイコールの関係にあると考えて問題ありません。
そして損金算入とは、この損金(費用)を利益から減算することを言います。
こうして損金算入された費用は非課税となります。
損金算入できる費用
既に述べた通り、法人の支出する費用には損金算入できるものとそうでないものがあります。
損金算入できる費用には色々な物がありますが、最も代表的なのは社員に対する給与です。皆さんが毎月受け取っている給与は、課税の対象とならない損金算入できる費用だったのです。
またこの他にも、役員報酬や役員への退職金、生命保険、中小企業向けの共済などが損金算入の対象となります。尚、交際費については中小法人を対象として、年間800万円以下であれば損金算入できるという措置が取られています。
損金算入できない費用
それでは、次に損金算入できない費用について見ていきましょう。
損金算入できない費用には以下のようなものがあります。
過大な役員給与
役員報酬については損金算入できると先述しましたが、過大な役員給与については例外扱いとなります。
具体的には、定額同額給与・事前確定届出給与・利益連動給与のいずれかに該当するもので、その額が課題である役員報酬については損金不算入ということになります。
減価償却の超過額
減価償却費は基本的には損金算入することができますが、これには限度額が定められており、この額を超えた部分については損金不算入となります。
法人税や住民税など
法人が納める税金の内、法人税、法人住民税、延滞税、加算税、罰科税、源泉所得税といった税金は損金不算入となります。
限度額以上の寄付金
寄付金には、特定公益増進法人に対する寄付金、認定NPO法人等に対する寄付金、特定公益信託の信託財産とするために支出した金銭など様々な種類がありますが、これらは限度額を超えない限りは損金算入することができます。
限度額を超えるかどうかで損金に算入できるかどうかが決まるわけです。
尚、国や地方公共団体に対する寄付金及び指定寄付金については限度額が存在せず、全額を損金算入することができます。
限度額以上の交際費等
交際費等とは、交際費、接待費、機密費などのことを指します。この内、交際費については既に述べた通り800万円以下であれば損金算入することができます。また、飲食にかかる支出については全額の50%までが損金算入の対象となります。従って、これらのラインを超えて支出されたものについては損金不算入になるということです。