株式投資を法人で行う場合のメリット
株式投資を行う主体には、大きく分けて二つのタイプがあります。
一つは個人投資家、そしてもう一つは法人(機関投資家)です。
この両者にはそれぞれにメリットとデメリットがあるわけですが、個人よりも法人の方が多くのメリットを有しています。
ここでは、そんな法人による株式投資のメリットを紹介していきたいと思います。
株式投資を法人で行うことの4つのメリット
個人ではなく法人で株式投資を行うことにはいくつものメリットがありますが、ここではまず初めに4つに絞って紹介していきます。
損失の繰越し
個人であれ法人であれ、株式投資によって発生した損失を繰り越すことはできますが、その期間については両者の間で大きな開きがあります。
まず個人の場合には繰越しが可能な期間は3年ですが、法人の場合には最長で9年間繰越すことができます。
決算期の変更
事業を行っていれば、個人にも法人にも決算期というものが訪れます。
もちろんこれは株式投資についても言えるわけですが、この決算期は法人であればその時期を変更することができますが、個人の場合には変更できません。
相続税対策の選択肢
相続税への対策は、個人にとっても法人にとっても非常に重要なことです。
ところが、法人の相続税対策が多様な方法を選択できるのに対して、個人の場合には対策がかなり限定的なものになってしまいます。
社会的地位の高さ
これは言うまでもないことかもしれませんが、個人と法人では、どうしても法人の方が社会的地位が高くなる傾向にあります。
当然、社会的地位が高い方が資金を借り入れるにしても、物件を賃貸するにしても、間違いなく有利に働きます。
税金面でのメリット
上記の4つのメリットだけでも個人よりも法人の方が株式投資に向いていることが分かりますが、実は法人で株式投資を行うことのメリットはこれだけではありません。
個人よりも法人の方が、税金の面で見ても色々とメリットがあるのです。
経費を損金算入できる
個人で株式投資をする場合には原則分離課税が適用されるため、株式の取得価格と売買手数料を除けば譲渡益から経費を差し引くことはできません。
一方、法人の場合にはこのような縛りが無いため、経費として必要と認められるものであれば全て損金算入することができます。
例えば、株式投資に関する書籍の購入費用やセミナーの受講料などがこれに当たります。また、必要経費と証明できるものであれば、親族への給与や交際費などであっても損金算入の対象とすることができます。
配当金が益金不算入になる
法人が受け取る株式の配当については、二重課税の排除という観点から20%までであれば益金不算入となります。つまり、20%までであれば受取配当金が非課税になるということです。
個人の場合にもこれに似た仕組みとして配当控除というものがありますが、こちらは15%が上限となっていますので、法人の方がメリットが大きくなります。
損益通算ができる
法人の場合には、仮に株式投資によって損失を出したとしても、他の所得と損益通算することによって損失を相殺することができます。しかし、個人の場合には株式の譲渡損失を他の所得と損益通算することは認められていません。