「法人税が課税されない法人」とは?
法人税は法人の取得に対して課される国税の一種であり、これを支払うことは法人の義務であると法人税法でも定められています。
しかし、法人の中にはその設立目的や特性により「法人税の課税対象とならない」ものが存在する事をご存知でしょうか?
本記事では法人税法で期待されている「法人税が課されていない法人」について、「なぜ法人税が課税されていないのか」といった経緯を交えつつご紹介します。
法人税が課税されていない法人一覧
法人税法4条には、「法人税が課税されない法人」に関する規定が記載されています。
ここで規定されている3種類の「法人税が課税されない法人」ついて、以下で順番に見てみましょう。
公益法人等
1つ目は「公益法人等」です。
公共法人等とは、公益を挙げる事を目的とする以下の様な法人を指します。
- 社団法人
- 財団法人
- 宗教法人
- 学校法人
- 社会福祉法人
これらの法人はあくまで公益のみを目的としている為、通常法人税の課税対象外とされていますが、公共法人等であっても収益事業を行う場合は法人税の課税対象となります。
ただし、公益法人等が行う収益事業が「公共目的事業」と認定された場合には、法人税は課税されません。
この「公共目的事業」とは、公益認定法第2条4号が定めている不特定多数社の利益増進に寄与する事業を指します。
実際にどういった事業が「公共目的事業」に該当するか否かは、行政庁の諮問を受けた公益認定等委員会が答申形式で判断する事になっています。
公共法人
2つ目は「公共法人」です。
公共法人とは法人税法別表第1に規定されている様な、国や地方公共団体が運営する法人を指します。
- 地方公共団体
- 国立大学法人
- 日本放送協会
- 国民金融公庫
- 住宅金融公庫
- 日本道路公団
…etc
これらの公共法人に関しては、法人税法4条2項において法人税を納める義務がない事が規定されています。
人格のない社団等
3つ目は「人格のない社団等」です。
人格のない社団等とは、PTAや町内会、そして登記のない労働組合やマンション管理組合といった、法人格を持たない団体の事です。
人格のない社団等は「公益法人等」と同様に、税務上の収益事業を行った場合にのみ、法人税の課税対象となります。
ちなみに、人格のない社団等が収益事業を行う際には、収益滋養を開始してから2ヶ月以内に「収益事業開始届出書」を納税地の所轄税務署長宛に提出・送付する必要があります。
まとめ
本記事で紹介した3種類の法人は「普通法人」や「協同組合等」とは異なり、基本的に法人税の課税対象とはなりません。
ただし、「公益法人等」と「人格のない社団等」については、収益事業を行った場合にのみ法人税の課税対象となるケースが存在する点は押さえておきましょう。